
していない点、「行政学」が3年次配当のため、それ以前に「自治経営論」「政策過程論」等をまたそれと並行して「行政管理論」等を履修せざるをえない点など、多少の調整が必要のように思われる。
これらの2大学と比較して、さらに教育研究対象を明確にしているのが、神奈川大学自治行政学科である。この学科は地方自治行政の発展に寄与する教育・研究の進展と自治行政を担う人材の育成に努め、大学と自治体との協力関係を深めることを目標としており、学科の性格をかなり明確化している。したがって、カリキュラムにも工夫があり(以下、各科目は4単位)、上述の大学と異なり、1年次における必修科目の1つが「自治原論」である。そのほか、2年次で「地域政治論」「まちづくり行政特論」、3年次で「地方自治論」「政策過程論」「行政学」、4年次で「自治体経営論」「都市政策論」「行政情報論」といった科目が配置されている。特徴としては、1〜4年次まで科目の履修年次を区分していること、「行政学」が必修科目ではないことである。代わりに、「地方自治法・公務員法」(2年次)が必修となっている。この学科についても、自治行政学科でありながら、必修の「地方自治論」が3年次まで待たされるなど、年次配当の緩和が必要ではないか。
これらのほか、行政にかんする学科は、1965年にすでに設置された日本大学法学部管理行政学科、第3章および第4章で説明する福島犬挙行政社会学部行政学科ぐらいである。さて、本報告書では「行政学」の教育とともに「政策科学」教育についても並行して取り上げることとしているが、これらの「行政」にかんする学科の特色を素描するかぎり、「政策」への傾斜はそれほど感じられない。この点は先に説明した新設政治学科でも同様であるが、多くの大学で設置しているのは「政策過程論」「政治過程論」程度で、政策実施、政策評価等の各論的科目までは設置されていないのが現状である。この点は最後に再述する。
4. コース制の導入
第2節および第3節で検討した学部および学科レベルの改革はいずれも文部省の設置認可事項であるが、学部レベルで簡易に改革を行う1つの方法として「コース制」の導入がある。すなわち、学科内において学生の履修にいくつかのモデルを用意する方式であり、この方式を採用する大学は着実に増加している。政治学科におけるコース設定をみると、
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